私は彼が自然に気づくように、彼の愛撫を受ける時わざと両手を背中に回したままにしたり、頭上に手首を重ね合わせたポーズで官能的に身悶えたりしました。
すると、いつしか彼の方も私の両手首を押さえ付けながら愛撫をしているのです。
押さえ付けられた私は、「嬉しい」という言葉の代わりに一段と妖しく身悶えて見せます。
「大人しくしないと、縛っちゃうぞ」
そう言って、本当に傍らに投げ捨ててあった浴衣の紐をたぐり寄せて、私の手首を重ねて縛ったのは、三度目の不倫の時でした。
「そんなぁ……ダメよ、解いて欲しいの」
嬉しいくせに、私はわざと解いて欲しいフリをしてみせます。
本当は、もっと縛られて、嫌という程この乳房をいじめられてみたいのに……。
(ねえ理解ってちょうだい、私は責められるのが好きなの。弄ばれるのが大好きな淫らな女なのよォ)
彼に弄ばれたくて、私は必死で心の中で叫んでいました。
「奥さん、こうされるのが好きみたいだな。隠さなくていいんだぜ」
「うそ、そんなこと……」
(ええ、そうよ、もっといじめて。この私を、貴方の思い通りにして)
「隠してもダメだよ。ホラ、ここがもうこんなにベチャベチャだぜ」
指で私の秘所をいじり回してきます。
淫らな水音を立てる程に、そこはもうグッショリと愛液で濡れていました。
彼は指をこじ入れながら、堅い髭でゾリゾリと容赦なく私の乳房をこすります。
あああ……狂いそう……。
乳房の中に子宮があるような、泡立つような、あふれるような、背徳の快感。
私の狂ったような反応の仕方が彼には気に入ったと見えて、次の不倫の時にはロープを持参してきて、私を本格的に縛るようになりました。
『ナイン・ハーフ』という映画のビデオもせがんで彼と一緒に観ました。
その中で氷を使って恋人と楽しむシーンが気に入って、彼にぜひ観せたかったからなのです。
そう、私も同じことをして欲しかったのでした。
彼のマンションでビデオを観ながら、水割りを呑んだ後も氷はわざと近くに置いたままにしておきました。
思惑通り、彼は洗濯ロープを手にすると、「今日は本格的にいじめてやろうかな」
そう言って私の乳房を上と下からはさむようにグルグル巻きに縛り上げ、氷をつまむと、それを歪んで飛び出している乳首に容赦なく押し付けてきたのです。
「あの映画の中で、こういうシーンがあったろ。奥さんは、あれに興奮していたな」
「つ、冷たいっ! 体の芯まで凍えそう!」
「あの時、感じてたんだろ?正直に言えよ」
氷が押し付けられ、ジーンと冷たく痺れたところを彼の唇や舌が紙め回してきます。
冷たいのに、熱い……。苦痛と快感が混ざり合う、この瞬間がたまらない。
「あふうぅ……感じてなんてないわ」
「正直に言わないと、氷を付けたままにしておくぞ。ロープも解かずにずっと家に帰してやらないからな」
「嬉しいけど、ダメ、困るぅ……夫にバレちゃう」
「感じたんだろ、この淫乱人妻」
「ええ、とっても……たまらなかったわ……貴方に責められるのが、最高の悦びよ」
「よーし、ご褒美だ」
片手で乳首に氷を押し付けたまま、いつの間に用意していたのか、洗濯バサミで乳房の肉をはさみ始めました。
四つ、五つと―――はさまれる瞬間は声が漏れてしまう程痛いけれど、すぐにチリチリと痺れるような快感に変わります。
なぜか洗濯バサミって、はさむ時と外す時とがとても痛いのです。
その痛みが、この上ない甘美な興奮を私にもたらすことを、私はもう知っていました。
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