【責めを乞う人妻】荒木恵美(36歳・主婦)の場合

不躾ながら。

私と恵美は、互いの配偶者と別れ、晴れてSM夫婦として一緒になり、思う存分秘め事に興じようなどという、あまりに不遜な考えを抱いていた。

しかし、数年が過ぎてもなお、この背徳の関係を私たちはズルズルと続け、みっともない話だが、未だ実現の見込みはない。

非常に言い訳めくが、私はむしろ今のままの淫靡な不倫関係を続けていた方が、この上ない悦楽を得られるのではないかと考えている。

といいますのは、SMの儀式にとって最も肝要なポイントと思われる、精神的な緊張感が、互いに「不倫」を意識し続けることによって持続され、責め合いの昂りを覚える濃密なスパイスという意味合いをもたらすからだ。

私と恵美は同じ団地に住まう居住者であり、このことが「不倫関係」とともに、私どもの秘め事における重要なエレメントになっている。

それは、この団地に住まう主婦たちの性向として、隣人の私生活に異常なまでに関心を持ち、それを肴に閑を持て余す主婦たちが噂話の花を咲かせるというのが、彼女たちの事実上の日課だからだ。

だからこそ、私たちが、昼下がりのひととき、互いの配偶者の目を盗んでは、淫欲の蜜を分かち合うところを見とがめられたら、たちまち彼女たちの口の端に上ってしまうという危険性が、常に付きまとうのだ。

恵美が心底で心配するのも、その屈辱なのだ。

そのように対外的には臆病な恵美だが、二人きりになり、非日常的な甘美な時の中では、驚くほど放埒に振る舞う。

雌獣のごとく、私の肉を貪り求め、秘肉から粘り気のある肉汁をあられも無く溢れさせ、普段ではとても口にできない卑猥極まりない単語を吐き散らし、倦むことなく陶酔の時を乞い求めるのだ。

一体に、恵美は夫の前でもかくも破廉恥に振る舞うのだろうか、とさえ思わせる程だ。

私たちは逢瀬の時を何時までも新鮮な気持ちでいたいと願い、互いのプライバシーにはあまり立ち入らぬよう心掛けているが、一度、恵美のベッドライフについて尋ねたことがある。

すると彼女は、「夫が私の肉体を何時も満たしていてくれたら、あなたとこんな関係にならなかったとお思いになって?」と、幾分揶揄を含んだ語調で答えたことがある。

その言葉が全てを語っていると思われ、以来かかる愚問は口にすまいと自らに命じている。

逢えば、恵美の媚肉に埋没せんとする自らを戒め、我が家で時折義務としてのみ抱く丸太のごとき妻の肉体に、恵美への愛おしさを募らせる私の苦衷は、たぶん恵美も共有してくれるものであろう。

別れ際に、「何時になったら、あなたの妻、いいえ、あなただけの奴隷にして戴けるの?」という媚を含んでねっとりと絡みつくような問いに、その感を深くする。

私はその度に、そうできぬ自らの不明を責めながらも、一度、恵美自身の淫肉をもって答えてやらねばならぬと心中深く想いをいたすのであった。

その機会が、つい先頃訪れたのであった。

その日、恵美のご主人は会社の接待で泊り掛けでゴルフに出掛けるという事でしたので、私は残り少ない有給休暇を使って欠勤し、妻には出張と偽って、恵美の待つ秘やかな部屋を訪ねたのであった。

ドアチャイムを鳴らして、ノブを引いて中を覗くと、息を呑む光景に立ち竦む。

上がり框に正座している恵美は、すでに着衣とて一片もない裸身で、唯一纏っているのは、黒皮製の褌状のベルトだった。

股間に当たる部分が袋状になっており、そこに玉子型の小型バイブレーターを装着できる構造になっていて、その時もバイブ特有の羽虫が唸るような微かな音が聞こえる。

私は少しばかり驚き、「おいおい、これはどうしたと言うんだ。もし私以外の人間だったら、ドアを開けて大変なことになるところじゃないか」

「ドアスコープを覗けば、そんなこと分かりますわ。早くあなたに可愛がってもらいたくて服を脱ぐ時間が惜しくって、こんな辱らいの恰好でお待ちしていたんです。お気に召しませんこと?」

そう答える恵美の目元は溢れる欲情のためにほんのり薔薇色に染まり、語尾も快美の期待に微かに震えている始末であった。

一瞬気圧された私だが、その恵美のいじらしいまでの仕草に、しばし胸底に秘しておいた嗜虐の想いが一気に噴き出してくるようだった。

気を取り直した私は、靴を脱ぎ捨てて上がり込むと、「奴隷のくせして、ご主人様の命令もないのに勝手なことをしたな。今、仕置をしてやる」

吐き捨てるよう言いおいて、むんずと恵美の髪を乱暴にひき掴むと、そのまま半裸の肉体をズルズルと引き摺って、リビングルームまで運び入れたのであった。

「さあ、お前がどれだけ淫らな女だか検査してやる。ベルトを外してみろ」

「ああん、いや」

羞恥に見る見る裸身を染め上げる恵美は、腰をむず痒そうにモジつかせながら立ち上り、オズオズといった風情で、腰部を隠していた唯一の着衣を脱ぎ下ろしていったのであった。

「足を拡げて、恵美のスケベエなオマンコが良く見えるようにしてみろ」

「ああ、恥ずかしい。そんなことおっしゃらないで下さい」

拒否の言葉を吐きながらも、私に言われるままの姿勢を取る恵美。彼女の胸中は、この羞恥と、迫りくる快楽への期待とで、いまにも爆発しそうに軋んでいた。

股間に顔を寄せ、柔らかいビロードのような感触の秘草をかき分けて、その底で薄らと口を開いた桜色の肉層の辺りに目をやると、わずかに腥い匂いを帯びた蜜を溢れさせているではないか。

「あきれ返った牝ブタだ。私が来るのも待ちきれず、勝手に己を慰めていたのだな」

「そ、そんな……」

「だったら、何だ、この濡れようは。淫売女でも、こんなに濡らしたりはせんぞ」

語気強く命令すると、それだけで恵美は「ハァ」と軽く喘ぎ、秘唇をビッチョリと濡らし始める。

わざと意地悪く語気を荒げて詰問する私に、消え入りたげに、腰部をモジつかせ、両手で湿潤の辺りを覆い隠そうとする恵美。

(ああ、隠したい。でも、隠しきれないこの淫らな自分を見せつけて、この人に責められたい……!)

「誰が動いていいと言った。ご主人様によく見えるようにしておけ!」

前に垂らした恵美の両手を払いのけ、熱い蜜にしとどに濡れそぼった辺りに、ゆっくり指を押し入れた。

「どれどれ、亭主の精液が残っているかも知れんから、検査をしてやろう」

指先で淫唇を大きく拡げ、桜色の薄膜を、みっしりと敷きつめたような花肉を露わにすると、ポッカリ穿たれたヌラめく洞に人差し指と中指を揃えて、徐々に押し入れ、引き抜く、という責めを繰り返し行った。

「ああーん、いや」

甘やかな悦びを明らさまにした鼻声を洩らして、恵美は私の指に身を任せ、律動に合わせて、腰を微かにくねらせるのであった。

上端の薄皮を剥き上げ、固く凝った肉芽を舌の先に乗せて転がしてやった。

「ああーん、う、ううーん」

ウィークポイントを責められ、私が訪ねる前にバイブによって愛撫を与えられていた恵美の媚肉は、あっけなく快美の火を点されている有様であった。

断続的な喘ぎが、オクターブを徐々に高め、悦楽の項に向けて昇りつめようとする恵美の様子を察した私は、容赦なく指を引き抜いてやったのであった。

「あんまり早々と気をやっても面白くないだろう。今日は一寸趣向を変えて楽しもうじゃないか」

恵美は私のそんな言葉も耳に入らぬのか、快楽の行為を中断された怨みを込めるかのように、あられもない喘ぎを洩らし続け、もっと続けて欲しい旨を暗に匂わせるのであった。

私は先程脱いだ、バイブ内蔵の股間ベルトと、この日のために買い置いておいた、中心部が丸くくり抜かれている黒皮製のブラジャーを恵美に手渡し、身につけるように指示した。

未だ駄々っ子のように快楽のおねだりをして、豊かな脹らみを見せてプリプリと振り揺する臀部に、私の命令に従うよう力一杯の平手打ちを喰わせてやった。

“ビシャ。”

「くうッ」

肉を断つ酷い音とともに痛みに耐えかねた恵美の絶叫がリビングルームー杯に響き渡る。

(痛い!でも、この痛みが、私を誰にも言えない淫らな女にしてくれる!)

追い打ちを掛けるように更に数発連続的に打ちすえていく。

“ビシャ、ビシャ、ビシャ。”

紅毛人と見まごうばかりに白い恵美の裸臀は無残なまでに紅潮し、恵美は私の嗜虐心を暫く楽しませると、漸く命令に従って、黒皮の下着を身に纏っていくのであった。

冷たい皮の感触が、白い肌を一際ひきたて、パンティは腰に深く喰い入り、また幾分小さめに作らせたブラジャーは、恵美の形良い乳房を変形させるまでに胸を締めつけ、真中に穿たれた穴から、ピンクの乳輪と疼くように先を尖らせた南天の実のような乳首を苦しげにせり出させているのであった。

勝手知ったる他人の何とかで、洋服ダンスからベージュのコートを取り出すと、恵美に放り投げ、身に纏うように言いつけた。

「こ、こんな恰好してどうしようというの。今日は、恵美を縛って下さらないんですか」

「後でたっぷり、嫌になる程縛ってやるさ。それより、今日は私たちの淫らな関係をご近所の奥さま方に見てもらって、公の関係になろうって寸法さ」

一方的にそう宣告すると、淫らな下着の上にコートを羽織っただけという恵美を有無を言わせず、白日の下に引き出したのであった。

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