文を綴るということが、どうにも苦手で、ついつい語るべき核心が短くなりがちである。
だが、先日、この身の奥底を震わせる興奮する秘め事を行ったので、その顛末をここに報告したいと思う。
その秘め事とは、私のSMパートナーである渋谷浩子に、左右のサイドに六カ所ずつスカートの裾までリングで穴が開いているというボディコンの超ミニを纏わせることだった。
その極限まで切り詰められた裾からは、やっと肉の割れ目が隠れる程度で、歩く度にガーターストッキングの食い込む黒い二本の帯が卑猥に肌を覗かせ、見る者の欲望を煽る。
病院という神聖な場で公然と強いる、ボディコン・ノーパンの羞恥凌辱。
しかし、浩子はまだまだ露出狂というところまでは至っていなかったので、一応ショート丈のジャケットは羽織らせた。
そのわずかな「隠し」が、むしろ背徳のスパイスとして、彼女の羞恥心を深く抉る。
さて、その辱かしい格好で何をさせるのかといえば、近くの総合病院の泌尿器科へ行き、彼女の穢れた肛門を医師に晒し診察させるという、極めて倒錯的な責めである。
浩子は多少の便秘気味ではあるものの、他はいたって健康な女性だ。
「普通ならこんな子は来る筈がない」という事実は、即ち彼女自身が、
「この子は露出狂の変態女?」と、先生や看護婦のすべての人々に思わせる。
そして、軽蔑の視線で彼女を深々と辱め、さらに、彼女の秘部が愛液に濡れそぼっている様を公然と晒させ、肉の締まりを弄り回される……。
実際プレイしなくても、イメージで絶頂てしまうことのできる私のような男には、やたらと燃える秘め事である。
そこで私は周到にも盗聴マイクを仕掛け、渋谷浩子の診察をモニターすることにした。
秋葉原でブローチ型の盗聴マイクと小型のネクタイピン型の盗聴マイク二本と受信機二台、そしてウォークマン二台を用意した。
浩子のボディコンの胸元にブローチ型のマイクを、そしてネクタイピン型の方は、ハンドバッグの肩掛けベルトと本体との付け根部分に目立たない様にしてセッティングした。
これは浩子の恥らいの吐息や呻きを、すべて拾い上げるためだ。
私の方は、ウォークマン型の小型受信機に繋いだヘッドフォンの右耳にはブローチ型マイクの音声を、左耳にはバッグに付けたネクタイピン型マイクの音声をモニターし、さらに各々二台の受信機の音声をウォークマンに録音するようにした。
つまり、彼女のすべての屈辱と快感を、私が独占的に支配し、記録するためである。
なぜマイクが二台必要かといえば、診察ベッドの上では、往々にして医師と彼女だけの状況になりがちで、看護婦たちの嫉妬や妬み、さらには蔑みの声を、一つ目のマイクだけでは捉えにくいと考えたからだ。
バッグなどは大抵看護婦の目の届き易いところに置くように要求されるか、入口の荷物置き場などに置く訳で、そこからなら、特に四月なので見習い看護婦などもいるだろうから、二~三人の看護婦はいると読んだ。
そこにマイクを仕掛けておけば、彼女達の陰湿な嘲笑も良くこちら側に聞こえる筈である。
看護婦達は、浩子に聞こえない様にヒソヒソと噂するだろうから、ものすごい話が聞こえるだろう。
さて、浩子にマイクを仕掛け、しっかりとテストを済ませると、私は受信機をカバンに入れ、そして病院へと目指した。
近くといっても、バスで十分位の所で、歩いて行くには多少距離のある所である。
彼女の丸出しの肉の割れ目を、道行く多くの者が振り返り、下劣な欲望を隠さぬ視線を浴びせる中、私達は病院へと向かう。
恐らく、その時点で浩子は、すでに股間を愛液で濡らしていたに違いない。
浩子はひたすら項垂れたままであった。
その俯きかげんの顔は、羞恥に紅潮し、スカートのリングから肌が晒されるたびに、浴びる視線が皮膚を焼き焦がすように熱い快感となって、全身の力を奪っていく。
いよいよ病院に着くと、まず大きな自動ドアの前で、ガードマンが下卑た欲望を隠そうともしない、肉を貪るような視線で彼女の身体を上から下へ、舐め回すように見ている。
言い忘れましたが、浩子は、髪の長い、そしてウェーブパーマの掛かった、見るからに淫蕩な遊び人という虚像を醸し出す女性だが、その実は真面目な雌である。
この虚飾こそが、彼女の羞恥心を一層高めるのだ。
そして、次にドアをくぐると総合受付へと向かう。
「泌尿器科へ行きたいのですが?」と私が尋ね、来診のカードを記入した。
この時、彼女はじっと黙ったままである。羞恥のあまり、喉が張り付いたように声が出せないのだ。
後で聞いた話だと、「この先の凌辱に、肉体の奥底から抗えぬほどの興奮を覚えた」との事であった。
その興奮は、太腿を震わせるほどの愛液の流出を招いていたに違いない。
そして、エレベーターで四階に向かい、泌尿器科の受付へ向かった。
ここからは、彼女を一人だけにして、私はエレベーター前のベンチに坐り、そこからヘッドフォンで彼女の受付の様子を聞いた。
受付の女性は、年の頃も同じ二十二~二十三歳の看護婦であった。
「あの……初診なんですけど」
「ハイ、分かりました。名前が呼ばれましたら診察室にお入り下さい」
というやりとりをヘッドフォンを通じてモニターした。
彼女は、やはりどこかギコチなく、受付の子は、「何か異様な娘だ」という侮蔑の念が濃密に伝わってきた。
この侮蔑こそが、浩子を内側から焼き尽くす炎だ。
私はヘッドフォンを耳に押し付け、浩子の浅い呼吸と受付の静かな嘲笑が混ざり合う淫靡な音声に、意識のすべてを集中させた。
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