留美と出会ったのは、私がまだサラリーマンだった頃。
出会った時、彼女はまだ、制服のスカート丈を気にする、ごく普通の高校生だった。
とある駅前の書店で、専門書を探す私に、全く見当違いの棚の前で困り果てている彼女が声をかけてきたのが、すべての始まりだった。
その人懐っこく、仔犬のような笑顔に、私自身もまだ若かったとはいえ、不思議な庇護欲を掻き立てられたのを覚えている。
それ以来、彼女の学校が終わる時間に合わせ、こうしてファミレスで他愛もない話をするのが、私たちのささやかな習慣となっていた。
「それで、友達が『そこは普通、笑うとこじゃない』って怒るんですよ。ひどくないですか?」
「ふふ、それは留美ちゃんが楽しそうで、つい周りが見えなくなってしまっただけじゃないかな」
他愛もない会話。
だが、その端々に、彼女が抱える「人見知り」や「敏感さ」の片鱗が覗く。
私は、それを壊さないよう、ただ優しく相槌を打つことに徹していた。
その日、彼女のほうから「今日は、外で話がしたいんです」と誘ってきたのは、珍しいことだった。
ファミリーレストランでの2、3時間は、いつもよりどこか上の空で、彼女の視線は窓の外の闇に吸い寄せられているようだった。
今日は、アルバイトがないという彼女を、もう少しだけ引き留めておきたくて、私は声をかけた。
「まだ時間はあるかい?少し、散歩でもしない?」
公園は、午後9時を過ぎると、人の気配が完全に消えていた。
二人分の足音だけが、湿った土の上に響く。
児童遊園地まで歩くと、留美は「わぁ、懐かしい!」と無邪気な声を上げ、錆びついた鉄棒へと駆け寄った。
「まだ、できるかなぁ」
無邪気な声を上げ、スカートの裾も構わずに勢いをつける。
元気よく蹴り上げた足が、空を切る。
10代特有の、柔らかい肉付きの身体。
キュッと引き締まった張りのあるヒップが、彼女の勢いを邪魔しているようだった。
18歳という蕾が孕んだ柔らかな肉付きは、少女の頃の軽やかさを許さない。
何度も挑戦するたびに、制服の短いスカートの裾が翻り、その奥にある純白のパンティと、むっちりとした太腿のラインが、暗闇の中で眩しく浮かび上がっては消える。
(……無防備だな)
その一言が、私の理性の表層を薄く削り取っていく。
逆上がりが無理だと悟り、彼女が小さく息をついた瞬間を見計らい、私はその傍らに立った。
「……冷えるね」
その瞬間、私は、自分でも抑えきれない衝動のまま彼女に近づき、その細い腕を引いて、身体を抱き寄せていた。
留美の肩が”びくり”と小さく震える。
驚きに見開かれた瞳が、暗闇の中で私を捉える。
その問いかけるような唇を、私は自らのそれで静かに塞いだ。
初めて触れる唇は、想像していたよりもずっと柔らかく、そして戸惑うように震えていた。
留美は抵抗するでもなく、むしろ、驚きで硬直した身体を、そっと私に預けてくる。
やがて、私の腰のあたりに、彼女の小さな両手が恐る恐る回された。
留美の身体が強張り、私の腰に回された腕は、行く場を失ったように微かに震えていた。
私はキスをしたまま、ゆっくりと右手を滑らせ、制服のブレザーの上から、その小さな膨らみに触れた。
「……っ」
彼女の身体が微かに跳ねる。
だが、拒絶はない。
「……ボタン、外してもいい?」
耳元で囁くと、留美は声にならない声で「……ぅん」と呟き、恥ずかしそうに顔を伏せた。
ブレザーのボタンを外し、真っ白なブラウスの第二ボタン、第三ボタンへと、指をかけていく。
一つ、また一つと、彼女を守る壁が外されていく。
隙間から覗く、透き通るような10代の柔肌。
ブラウスの隙間から滑り込ませた指先が、まだ少女の硬さを残す膨らみに触れる。
その熱さに眩暈がしそうになる。
ブラジャー越しに触れた乳首は、すでに硬く尖り、彼女の身体がこのキスに反応していることを示していた。
一旦、唇を離し、潤んだ瞳で見上げてくる彼女の気持ちを確かめる。
「……嫌じゃない?」
ハッキリとした言葉は、この繊一な空気を壊してしまう。
曖昧に、しかし真剣に問うと、留美は頬を林檎のように染め上げ、微かな声で「……ぅん」と答え、小さく頷いた。
私は、俯いた彼女の顎を右手でそっと持ち上げ、再び深く唇を重ねる。
柔らかい乳房と、その頂点で硬く主張する蕾への愛撫を再開した。
「ん……ぅ……」
彼女の呼吸が、徐々に荒くなっていくのがわかる。
身体が、まるで寒さに震える仔犬のように小刻みに震え始めた。
(……こんなに、感じるのか……)
私の経験上、女性の身体がここまで反応するのなら、それは本能的な性的興奮が始まっている証拠だった。
右手を胸元から離し、スカートの上から、その豊かなヒップの丸みを、なぞるようにまさぐる。
流行りとはいえ、あまりに短いスカートの裾から、張りのある臀部の熱と、その下にあるパンティの温もりが、じかに伝わってきた。
スカートの裾から、パンティの中に直接指を滑り込ませようとすると、留美の左手が、弱々しく私の手を遮ろうとした。
だが、それは抵抗というよりも、これから起こる未知の行為に対する、最後の戸惑いに過ぎなかった。
「……大丈夫。怖くないよ」
そう囁きながら、私はまず、その柔らかな臀部の感触を確かめる。
指が触れるたび”ビクンッ”と彼女の身体が跳ねる。
(本当に……どこを触っても、感じるんだな……)
それならば、と。
私は、殆どの女性が一番感じる場所を目指して、右手を臀部の谷間から、ゆっくりと前へと這わせていった。
一切手入れのされていない、柔らかく、少し濃い目の恥毛が指先に触れる。
その茂みのすぐ下、割れ目の始まるあたりに、パンティの薄い布地とは明らかに違う、硬い感触があった。
(ん……?ナプキンか……?)
「あっ、ごめん。もしかして、生理だった?」
思わず尋ねると、留美はか細い声で、激しく首を横に振った。
「ぅぅん……違うの……生理じゃ、ないの……」
その声は、絞り出すようで、深い羞恥に震えていた。
(生理じゃない……?では、これは……)
説明のつかない違和感を覚えながらも、私はキスを再開し、再びパンティの中に指を滑り込ませる。
恥骨のあたりから、ゆっくりと指を這わせ、割れ目の始まりを探る。
その先に、なぜか、硬い突起物が指に当たった。
それは、まだ成熟しきっていない赤子の小指ほどの大きさで、本来あるべき場所から、恥ずかしげもなく顔を覗かせていた。
(まさか……こんな場所に、クリトリスが……?)
その突起物に指先が触れた瞬間、留美は今日一番の、強烈な反応を示した。
それは”ビクンッ”などという生易しいものではなく、感電したかのように全身を硬直させ「ひっ!」と短い悲鳴を上げたのだ。
普通は、割れ目を開き、少し中に指を入れなければ触れられないはずのもの。
それが、彼女の場合は、最初から外に飛び出してしまっているようだった。
もう一度、確かめなければならない。
好奇心と、サディスティックな衝動が、私の指を動かす。
私は左腕で、暴れようとする留美の身体を少し強く抱き寄せ、右手で、その敏感すぎる場所へと再び触れた。
「いやっ……!だめ、そこ……っ、あ……!」
留美の身体は、陸に打ち上げられた魚のように、私の腕の中で激しく跳ねた。
声にならない喘ぎが、暗い公園に微かに漏れる。
(間違いない……これが、彼女のクリトリスだ……!)
その異常なまでの反応に、私の中の何かが、静かに昂ぶっていくのがわかった。
「あっ、んん……!ふ、ぁ……や、めて……ください……っ」
屋外だというのに、彼女はもう、堪えきれずに声を漏らし始めている。
「……イキそう?」
耳元に、熱い吐息を吹きかけながら尋ねる。
留美は、膝をガクガクと震わせ、もはや返事もできず、ただ小刻みに頭を縦に振るだけだった。
(……なんて、身体だ……)
この反応は、間違いなく絶頂が近いことを示していた。
刺激を始めてから、まだ2、30秒しか経っていない。
その時、留美は「イク」という声さえ出せず、まるで糸が切れた人形のように、私の腕から逃げ、腰を引き、膝を折り、その場に崩れ落ちた。
彼女は、制服のスカートも乱れたまま、地面に蹲り、小さく肩を震わせていた。
動けない留美の背中を、私はただ黙って、優しくさすり続けた。
「……っ、はぁ……はぁ……っ……」
暗闇の中で、彼女の荒い息遣いだけが響く。
私は、自らの内側に芽生えた、この熱い衝動の正体が何なのか、まだ理解できずにいた。
(ただの、敏感症……?それにしては、あまりにも……)
1、2分ほど経った頃だろうか。
私は、まだ震え続けている彼女の手を取り、肩を抱きかかえるようにして、優しく立たせた。
「……大丈夫?」
「……うっ……ぅん……」
(敏感すぎる……)
私の脳裏には、その言葉が焼き付いていた。
だが、私はそれ以上何も問わず、彼女の恥ずかしさを包み込むように、ただ静かに微笑みかけた。
本当は、ここで色々と聞きたかった。
「いつもこうなのか?どれくらい感じやすいのか?」と。
だが、それを聞いてしまえば、この臆病な仔犬は、二度と私に心を許さなくなるだろう。
私は、込み上げる欲望をぐっと堪え、努めて優しく、彼女の乱れた髪を整えてやった。
留美はまだ10代の学生だ。
卒業までは、この距離感が正しいのだと、私は自分に言い聞かせた。
この夜の出来事は、私と留美の関係を、表面的には何も変えなかった。
だが”あの出来事”は確実に彼女の心を変えていた。
転機が訪れたのは、年も変わり、卒業を数ヶ月後に控えた、いつものファミリーレストラン。
年頃の少女らしい、性への屈託のない好奇心。
性的な話題になった時、彼女は、急に真顔になり、あの夜と同じ、泣き出しそうな瞳で私を見つめた。
「……須藤さんに、ずっと、言えなかったことが……あるんです」
彼女は、テーブルの下で固く拳を握り締めながら、震える声で、その秘密を打ち明け始めた。
留美は、生まれつきクリトリスが異常に大きく、普段から大陰唇の外に数ミリ飛び出してしまっている、稀な体質であることを打ち明けた。
それは、彼女が生まれ持った、呪いとも言える秘密だった。
初潮を迎え、生理用品を使うようになってからは、月経時でなくとも、常にコットン素材のナプキンを当てていなければならなかった、と。
それは、身体の成長と共に、その部分は常に剥き出しになり、愛液なのかオリモノなのか、常に下着を汚してしまうという、少女には過酷な現実だった。
「だから……いつも、ナプキンを……」
生理でもないのに、ナプキンを手放せない理由。
「部活とか……バイトで、動いてると……ズレちゃって……」
部活で激しく動いたり、アルバイトで忙しくしていると、ナプキンがずれてしまうことがある。
「……下着の、布が……そこ、に……直接、触れて……擦れて……」
彼女は、言葉を詰まらせ、涙をこぼした。
「……そうすると、私……立っていられなくなって……」
告白を聞きながら、私は、あの夜の彼女の強烈な反応を思い出していた。
(なるほど……そういうことだったのか……)
私には、すべて分かっていたことだった。
あの夜、指先で確かめた、あの異常な感触の答えが、今、彼女の口から語られている。
Sっ気のある男ならずとも、この告白に興奮しない者がいるだろうか?
(数万人に一人……いや、それ以上か……)
ましてや、私のように、歪んだ本能を内に秘めた男であれば。
それまでの私は、留美に対して「可愛らしく、愛でたい」という、兄のような感情しか抱いていなかった。
だが、その瞬間、私の中の何かが、確実に変貌した。
(この身体は……この、悩みは……)
(私が、受け止めてやらなければ)
(いや……この身体のすべてを、私だけが、引き出してみたい)
私は、彼女の悩みに深く共感する振りをして、優しく言葉をかけた。
「それは……辛かったね。誰にも言えなかったんだろう?」
純粋な瞳が、救いを求めるように私を見つめ返す。
その時、私は確信した。
この少女は、私によって調教されるために生まれてきたのだ、と。
私は、自分好みの身体に「調教したい」という、その時まで知らなかった暗い欲望が、自らの内側で産声を上げるのを、確かに感じていた。
コメントを残す